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二次試験の化学について

2日目 13:00~15:00(120分)
配点:150点/750点

1.特徴

東工大の化学の試験は3つの大問で構成され、それぞれ理論化学、無機化学、有機化学が満遍なく出題されます。また各大問はそれぞれ5つの中問で構成され、全体の7~9問が選択問題、5~7問が計算問題、そして毎年必ず1問は有機化学の構造決定問題が出題されています。選択問題は殆どが正しいものまたは誤っているものを「一つまたは二つ」選ぶ形式であり、計算問題は答えのみを記述する形式となっています。これらの傾向は2015年以降変わっておらず、2022年度入試においても踏襲されると考えられます。

2.傾向

前述したとおり東工大の試験の一番の難関は選択問題です。以下に東工大の化学の試験で一般的な選択問題の出題形式を実際の過去問とともに紹介します。

7 つぎの記述のうち、誤っているものはどれか。
 1.第6周期までの同一周期の元素で比較すると、第一イオン化エネルギーが最も大きいのは貴ガスである。
2.第6周期までの遷移元素はすべて金属元素である。
3.圧力一定の条件下で液体の温度を徐々に下げていくと、凝固点よりも低い温度で凝固しないことがある。
4.SiH4とH2Sは分子量がほぼ同じであるが、沸点はSiH4よりもH2Sのほうが高い。
5.密閉容器内に入れた液体がある温度で気液平衡の状態にあるとき、液体の量が多いほど蒸気圧は高い。
6.温度一定の条件下で圧力が増加すると、固体から液体に変化する物質がある。
7.液体とも気体とも明確に区別できない状態になる物質がある。

12 高分子化合物A~Dに関するつぎの記述ア~エを読み、下の問に答えよ。
 ア.プロピレンを付加重合させるとAが得られる。
 イ.スチレンを付加重合させるとBが得られる。
 ウ.同じ物質量のアジピン酸とヘキサメチレンジアミンを縮合重合させるとCが得られる。
 エ.ε-カプロラクタムを開環重合させるとDが得られる。
問 次の記述のうち誤っているものはどれか。
 1.Aの固体では、結晶部分の割合が多くなると密度が大きくなる。
 2.Bは断熱材として用いることができる。
 3.Bの平均分子量を測定したところ、1.04×10⁴であった。このBは、すべて重合度100以上の高分子化合物からなる。
 4.ウの反応で、アミノ基とカルボキシ基がすべてなくなるまで重合させると、得られる高分子化合物は必ず環状になる。
 5.CとDのそれぞれに含まれる繰り返し単位中の窒素の含有率は、同じである。
 6.A~Dは、すべて熱可塑性を示す。
(ともに2021年度入試から抜粋)

問題7の問題はそれぞれの選択肢で言葉の定義や物質の性質の正誤を問うています。これらの問題はただ語句の暗記をしただけでは太刀打ちできないのも特徴です。例えば選択肢7の状態は超臨界状態という言葉を連想できれば正しいとわかりますが、説明だけ読んだらなかなか思いつくものではありません。
また問12はさらに厄介で、ア~エの記述を読んでA~Dの物質を特定することが前提となっています。一般的な大学入試ではA~Dがすべて分かれば部分点が入る可能性が高いですが、東工大の化学の入試でそのようなことはありません。このように2つのステップで初めて得点に結ぶつく選択問題が他にも数題出ているため形式に慣れる必要があると思います。
これらに加え、東工大では非常にややこしい計算問題も出題されます。さらに計算過程は採点対象外であるため、確実に正しい答えを導出する能力が要求されます。また例年の傾向として、数値ではなく文字で議論し文字式で答えさせる問題も出題されています。さらに近年は有効数字を意識させる狙いがあるのか、計算問題に有効数字の指定がされていないケースが多いです。実際の試験問題を一つ、紹介します。

4 一定温度で塩化銀の飽和水溶液に塩化ナトリウムを溶解させ、ナトリウムイオン濃度を1.0×10-5mol/Lにした。この時水溶液中の銀イオンの濃度(mol/L)はいくらか。解答は下の形式により示せ。ただしこの温度での塩化銀の溶解度積は2.00×10-10 (mol/L)²とする。また√2=1.41とする。(2021年度入試から抜粋)

この問題で上述の通り有効数字が指定されておらず、受験生自らが判断して解答しなければなりません。また計算の方も塩化物イオンの濃度を無視する近似ができないため煩雑です。

3.対策

実際の過去問をみて分かった通り、東工大の化学の対策で最も重要なことは「本質を理解する」ことです。どの問題もただ語句や性質を一通り暗記しているだけでは解けないように作られています。知識の欠落が一つでもあると多くの問題で正解にはならないため、丸暗記するのではなく理論的に現象を理解することを心がけるとよいかと思います。また、化学の試験とはいえ、かなりの計算力を要する問題もいくつか出題されるため、正確かつ早く計算できる力も同時に必要になってきます。試験時間は120分と比較的余裕がありますが、選択問題で詰まると計算問題が終わらなくなるため他の受験生と大きく差が開くことになります。まずは時間内ですべて解き切る力を身につけましょう。そのためには教科書・資料集等を読みこむことと過去問演習は不可欠だと個人的には考えます。独特な形式に慣れ、問題の傾向をつかむためにも15年~20年分の過去問を解いて理解しておくことを個人的にはお勧めします。

4.最後に

他の記事に比べかなり長い内容となってしまいましたがお付き合いいただきありがとうございます。いくつか私の経験や主観的な意見も含まれますが、読んでいただいた方の受験勉強のお役に立てれば幸いです。来年以降、最高の東工大ライフを一緒に過ごせることを楽しみにしています。